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平成19(2007)年10月のコラム一覧へ戻る

司法修習生歓迎会の挨拶

執筆 : 代表弁護士 大塚嘉一

1.埼玉弁護士会司法修習委員会副委員長の大塚でございます。

埼玉弁護士会を代表して歓迎の意を表します。

皆さん、これから、指導担当弁護士のもとで、弁護実務を修習するわけですが、若干の注意を申し上げます。別紙のペーパーをご覧ください。

……。

さて、注意事項についてはこれくらいにして、これから弁護修習を開始するに当っての心構えについて、若干申し上げます。

まず、思い切ってやれ、ということです。

皆さんは、指導担当の先生方のもとで、あるいは法律相談に立会い、あるいは刑事被疑者と接見し、あるいは準備書面を起案し、その他弁護士の一切の業務について学ぶわけですが、例えば、自分の考えたこと感じたことが、どうしてもどう考えても通説判例と違う、そういうときは、思い切ってそれに挑戦してみてください。

日本で責任を負わないのは、天皇と司法修習生です。もっとも、少し前までは、日本一の無責任男を自称する植木等さんというコメディアンがいらっしゃいましたが…。

それはさておき、どうか、疑問点を指導担当にぶつけてみてください。議論をしてみてください。当弁護士会の弁護士で、それを嫌がる人はいません。

2.参考までに、弁護士が、弁護士会が実際に社会を変えた事例をいくつか申し上げます。

皆さんは、弁護士が、被疑者との接見のため警察署の代用監獄に赴くと、ほぼ例外なく、時間の制限なく接見するのを見るはずです。

しかし、昔からそうだったわけではないのです。

かつては、被疑者と接見しようと考える弁護士は、まず検察庁に行って接見切符という物をもらわなければなりませんでした。接見する時間も制限されていました。

それはおかしいということで、全国各地で国賠訴訟が提起され、闘われました。埼玉弁護士会でも、有名な国賠訴訟がありました。

弁護士会を挙げての運動の結果、検察庁を動かすことになり、現在のように接見が自由になったのです。私が弁護士になった昭和63年ころが、その境目でした。

3.もう一つ例を挙げます。

かつて消費者金融で金を借り過ぎ、厳しい取立てのため、夜逃げしたり、自殺したりする人が多発し、社会問題となりました。弁護士が介入通知を出しても、取立てはやみません。私の場合でも、本人から電話がかかってくることがありました。代わってもらい、業者と怒鳴りあうこともありました。「警察を呼ぶぞ。」、「どうぞ、ご勝手に。」と、子供の喧嘩のようなやりとりもありました。

ここでも弁護士は、数々の訴訟を提起し、是正に努めました。努力しました。

現在では、介入通知を出せば即座に、取立てはほぼ収まり、却って過払い金の返還請求をすれば、業者が振り込み送金をしてくるというではありませんか。全く、隔世の感があります。

4.弁護士の個々の事件処理が、社会を変えることがあるのだ、ということを改めて強調したいと思います。先輩の弁護士の頑張りが、今、生きている分野はいっぱいあります。弁護修習では、どうか、実務を通じて、そのような弁護士のパワーを感得していただければうれしいです。

皆さんの修習が実り多いものとなることを祈念申し上げて、挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

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