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弁護士が執筆するコラム - 埼玉県さいたま市の弁護士事務所- 菊地総合法律事務所は、相続、不動産、同族会社の案件や、株式買取請求などの非公開会社の案件を多数解決しています。その他、交通事故や貸金などの一般民事事件、離婚、財産分与などの家事事件、少年・刑事事件、そして企業法務や自治体の法務にも経験をつんでおります。


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平成24(2012)年11月のコラム一覧へ戻る

なぜ埼玉で弁護士なのか

執筆 : 代表弁護士 大塚嘉一

1.先生の事務所が東京にあったらよかったのに、とか、都内に事務所を用意しますので移転しませんか、とか、依頼者から言われることがあります。

しかし私は埼玉から移転することはありません。

なぜか。

2.埼玉には、名門と言われる法律事務所がいくつかあります。当事務所は、そのうちの一つであると自負しています。その名に恥じることのないよう精進することを日々心掛けています。

私が、昭和63年に弁護士としての活動を始めたのは、旧浦和市内の菊地博泰法律事務所、当事務所の前身においてです。創設者の菊地先生は、多くの企業の顧問をしていました。当時の埼玉で、法務部をもつような企業を複数、顧問先としていた事務所は、それほど多くはありませんでした。

債権回収から始まり、各種の保全手続きなど様々な企業の活動に関連する法務を多数手掛けました。新株発行による資金調達、営業譲渡によるМ&A、債権譲渡の登記、株式譲渡、拠点を増やす際の調査(デューデリジェンス)などなど、都内のそれなりの事務所に依頼すれば、それなりの事件として、それなりの費用を請求されるような案件もありました。加えて、菊地先生は、資産をお持ちの個人の方々の依頼する事件も多数抱えておいででした。

菊地先生の指導は、いちいち教えてくださるのではなく、要所、要所で方向性を示されるというスタイルでした。案件の解決のために大事なのは、戦略です。何を目標として、どのような手段でそれを達成するか。こればかりは、経験がものをいうことを認めざるを得ませんでした。見習い弁護士は、方針さえ示されれば、自分で文献を調べ、自分で考え、事件処理を進めることができるのでした。菊地先生の大局観とバランス感覚は、今でも私の目標とするところです。

現在、顧問先の企業や依頼者は、埼玉県にとどまらず、都内など県外にも広がっています。海外からのご相談、ご依頼もあります。菊地先生の蒔いた種は、確実に成長しています。今でも、菊地先生にお世話になった者だが、と電話がかかってくることがあります。

3.平成12年度に、私は埼玉弁護士会の副会長を拝命し、これを務めあげることができました。弁護士会の全体を把握することができる、貴重な経験でした。予算作成から始まり、その執行まで見ました。各種委員会の活動ぶりを把握することができました。裁判所を初めとして、各士業団体との付き合い、交渉なども経験しました。すべて、私の弁護士としての貴重な財産となっています。

埼玉弁護士会は、風通しがよいのが自慢です。例えば、東京には、ご存知のとおり三つの弁護士会があります。そして、これはあまり世間には知られていないことだと思うのですが、「派閥」というものがあります。外部の者には、弁護士会内部の合理性、民主主義がどのように維持されているのか不思議に思えます。例えば、司法研修所の教官として推薦される場合、刑事弁護の経験がそれほどない人が、派閥の論理で刑事弁護教官となることがあると聞きます。埼玉弁護士会には、東京のような「派閥」はありません。その分、いざというときの論戦が激しく戦われます。

私が、弁護士一年生のとき、当時改正された国際私法の解説を、多くの埼玉弁護士会の会員の前で発表させられました。私は、受験生の時代から国際私法を勉強していたからでした。東京の弁護士会から登録換えされたばかりの先生が、東京では新人が改正法規の解説をするなど考えられないとおっしゃっていました。

私は、綱紀委員会、民暴対策委員会など各種委員会にも出席します。世間の注目を浴びるような、そうでなくとも重要な各種弁護団にも参加します。さいたま地裁、簡裁の調停委員も務めています。それらが、私の弁護士としての幅を広げていることは間違いありません。埼玉弁護士会を中心とする、公的な役目を担うことも、私の弁護士として力量を増大させることに、大いに役立っています。私は、埼玉弁護士会に育てられた、と思っています。

4.埼玉にいて、事件処理に困難を感じたことはありません。必要な情報の収集は問題なくできます。とりわけインターネットの発達には、目を見張るものがあります。

実際に、全国各地の裁判所で裁判をしてきました。

最近問題となっている為替デリバティブの案件については、東京の企業からのご相談もあります。私のほうで、埼玉にいることは何の障害にもなっていません。

逆に、埼玉にいながら、世界に向けて情報を発信することも可能です。

5.確かに、そこに事務所があるというだけでステイタスになるような場所というものはあるのだろうと思います。しかし、仮にそこに事務所を構えたとしても、内容が伴っていなければ、意味がないと思うのです。

私は、弁護士事務所の財産とは、結局、その依頼者であり、その顧問先だと思うのです。

そして、依頼者には、よい依頼者というものが確かにあります。私が考える、よい依頼者とは次の条件を満たす方です。第一に、直面する問題が法律によって解決されるべき問題(法律問題)であると認識し、第二に、それを解決する意志を持ち、第三に、それを弁護士など専門家に依頼することのメリットを理解していることです。

私の依頼者、顧問先は、上記のよい依頼者の条件に当てはまる方や企業ばかりです。よい依頼者、よい顧問先に支持されているというのが、私の最大の自慢であり、誇りです。

私は、埼玉にあって、弁護士としての力を蓄えてきたし、これからも、埼玉弁護士会のもとで、パワーを発揮したいと思っています。

今後も、埼玉を拠点に、全国の、世界中の依頼者の紛争の解決に貢献したい。

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