同族会社の経営者が遺言を作成する際に注意すべき点
同族会社の経営者の場合、遺言の作成には一般の方よりも注意すべき点が多くあります。
自社株式、不動産、金融資産など多岐にわたる財産を適切に承継するには、遺言の内容を慎重に検討しなくてはなりません。
遺言の内容に不備があると、相続人間のトラブルや多額の相続税負担につながる可能性があるため、事前の準備が重要です。
この記事では、同族会社の経営者が遺言を作成する際に注意すべき点について解説します。
同族会社の相続の場合に遺言が特に重要となる理由
同族会社の経営者(株主)が、特定の者に会社を承継させたいと考えた場合、相続人の関係者の間で合意ができていないと、相続人間での遺産分割をめぐるトラブルが起きやすくなります。
遺言であらかじめ遺産の分配を決めておけば、相続トラブルの回避につながります。
また、資産規模が大きいほど相続税の負担も重くなるため、相続税の納税資金を意識した遺言書を作成しておくことも重要です。
遺言を適切に作成しておくことで、相続人の負担を軽減し、円滑な資産承継が可能となります。
資産家が遺言を作成する際に注意すべき点
同族会社の経営者が遺言を作成する際には、以下の点に特に注意が必要です。
- 遺留分への配慮
- 財産の評価
- 相続税の納税資金の確保
- 遺言執行者の選任
- 付言事項の活用
それぞれの注意点について解説します。
遺留分への配慮
事業を次世代に引き継ぐためには、特定の相続人に同族会社の株式を集中させることが必要なケースもあるでしょう。
しかし、そうしたケースであっても、少なくとも遺留分には配慮した遺言書を作成すべきです。
遺留分とは、兄弟姉妹以外の相続人に保障された最低限の遺産の取り分のことです。
遺言の内容が遺留分を侵害している場合、遺留分を侵害された相続人が遺留分侵害額請求を行うことで相続人間のトラブルに発展する可能性が高くなります。
どうしても遺留分への配慮が難しいときは、遺留分侵害額請求への備えとして、代償金の準備をしておくことも有効な対策の1つといえます。
財産の評価
非上場株式や不動産など評価が複雑な財産が多く含まれている場合に、遺言を作成する際は、財産を適切に評価していなければ、相続人間で取得する財産のバランスが崩れ、トラブルの原因になることがあります。
評価が複雑な財産を含む遺言を作成する際は、必ず専門家に相談のうえ、評価額と相続人間のバランスを考慮した遺言書を作成すべきです。
相続税の納税資金の確保
資産が10億円を超える場合、相続税の負担は非常に大きくなります。
相続税は原則として現金で納付しなければならないため、遺言や遺産の内容によっては相続人が納税資金を確保できなくなるケースも少なくありません。
たとえば、不動産や非上場株式など換金しにくい財産を多く取得した相続人は、納税資金が不足する可能性が高くなります。
遺言を作成する際には、各相続人が取得する財産の内容と納税資金のバランスを考慮することが重要です。
遺言執行者の選任
遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために必要な手続きを行う人のことです。
資産規模が大きく財産の種類が多い場合、遺言執行者の役割は非常に重要になります。
遺言執行者を選任しておくと、相続人が個別に手続きを行う手間が省かれて、スムーズな遺言の執行が期待できます。
遺言執行者として弁護士などの専門家を選任しておくと、相続トラブルが起こってしまった場合の対応も任せられるため安心です。
付言事項の活用
付言事項とは、遺言書に記載する法的効力を持たないメッセージのことです。
付言事項に法的な効果はありませんが、なぜそのような遺言内容にしたのか、その理由や想いを付言事項として記載しておくことで、相続人が遺言の内容に納得しやすくなるという効果が期待できます。
特に財産の配分に偏りがある場合には、付言事項を活用して遺言者の意図を丁寧に伝えることが、相続人間のトラブル防止につながります。
遺言の形式は公正証書遺言
資産規模が大きい場合には、自筆証書遺言ではなく公正証書遺言を作成すべきです。
公正証書遺言は公証人が関与して作成するため、遺言の形式不備により無効となるリスクを避けられます。
また、原本が公証役場に保管されるため、遺言書の紛失や改ざんのリスクがない点も大きなメリットです。
資産規模が大きいほど遺言の有効性が争われるリスクも高まるため、公正証書遺言によって遺言の確実な実現を図ることが重要といえます。
まとめ
同族会社の経営者が遺言を作成する際には、遺留分への配慮・納税資金の確保・遺言執行者の選任といった点に注意が必要です。
資産規模が大きいほど相続トラブルに発展するリスクが高くなるため、専門的な知識を持つ弁護士のサポートが欠かせません。
菊地総合法律事務所では、資産家の方の遺言作成について、財産の規模や内容に応じた適切なアドバイスを提供しております。
遺言の作成や相続対策についてお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。