同族会社の社長が亡くなった時に起こりやすいトラブルとは?
同族会社の社長が突然亡くなった場合、会社の経営と相続の両面でさまざまなトラブルが起こる可能性があります。
家族経営の会社では、社長が会社の意思決定のすべてを担っていることも多く、その死亡により会社運営が停滞するリスクがあります。
また、相続人の間で会社の株式や財産をめぐる争いが起きることも少なくありません。
この記事では、同族会社の社長が亡くなった際に起こりやすいトラブルとその原因について解説します。
同族会社とはどのような会社か
同族会社とは、3人以下の株主並びに、これらと特殊な関係(家族・親族など)にある個人や法人が発行株式の50%以上を保有する会社のことです。
参考:同族会社|国税庁
中小企業の多くは同族会社であり、代表取締役である社長が筆頭株主として会社を経営しているケースが一般的です。
こうした会社では、社長の判断が会社のあらゆる意思決定に直結しているため、社長が亡くなった際の影響は非常に大きくなります。
社長の死亡は、会社経営と相続の両方に関わる問題を同時に引き起こすという点で、個人の相続とは異なる複雑さがあります。
同族会社の社長死亡後に起こりやすいトラブル
同族会社の社長死亡後に起こりやすいトラブルとしては、次のものが挙げられます。
- 後継者をめぐるトラブル
- 株式の相続をめぐるトラブル
- 相続税の支払いに関するトラブル
- 個人保証の引き継ぎに関するトラブル
- 取引先や金融機関との関係悪化
それぞれのトラブルの内容を解説します。
後継者をめぐるトラブル
社長が後継者を明確にしないまま亡くなった場合、誰が会社を引き継ぐかをめぐって相続人の間で争いが生じることがあります。
後継者が決まらない間は、会社の重要な意思決定が滞り、取引先や従業員との関係にも悪影響が及ぶ可能性があります。
社長の生前に後継者を指定し、株式の承継方法を明確にしておくことが、こうしたトラブルを防ぐうえで重要です。
株式の相続をめぐるトラブル
同族会社において、社長が保有していた株式は相続財産となります。
相続で株式が分散されると過半数の株式を保有する人がいなくなり、会社の重要な意思決定ができなくなる可能性があります。
また、非上場株式の評価は複雑であり、相続人の間で評価額をめぐる意見の対立が生じる可能性も否定できません。
遺言書を活用して株式の承継先を明確にしておくことが、こうした問題を回避する方法の1つです。
相続税の支払いに関するトラブル
同族会社の株式は、会社の規模や業績によっては高額になることがあります。
相続税は現金での納付が原則です。
株式以外の現金や預貯金が少ない場合には、相続税の納税資金を用意できずに困るケースがあります。
そうしたケースでは、会社の資産を売却したり、相続人が自身の財産を処分したりして、納税資金を確保しなければなりません。
相続税の問題を回避するには、暦年贈与を利用するなど生前からの税金対策が重要となります。
個人保証の引き継ぎに関するトラブル
中小企業の社長は、会社の借入金について個人保証をしているケースが多くあります。
社長が亡くなった場合、その個人保証債務も相続の対象となるため、相続人が思わぬ形で多額の債務を引き継ぐことになりかねません。
相続人がこの事実を知らないまま相続を承認してしまうと、後から個人保証の履行を求められるリスクがあります。
社長の死亡後は、相続財産の調査において個人保証の有無を必ず確認することが大切です。
取引先や金融機関との関係悪化
同族会社では、社長個人の信頼関係を基盤として取引が成立していることがあります。
社長が亡くなったことで、取引先が契約の継続を見直したり、金融機関が融資条件の変更を求めてきたりするケースも少なくありません。
後継者が早期に対外的な信頼を構築できるかどうかが、会社の存続に大きく影響します。
トラブルを防ぐために生前にできること
同族会社の社長が生前に準備しておくことで、死亡後のトラブルを大幅に減らせる可能性があります。
具体的には、遺言書の作成、株式の承継計画の策定、個人保証の見直しなどが有効な対策として挙げられます。
ただし、これらの対策は法律や税務の専門的な知識を要するため、早めに弁護士や税理士に相談することが重要です。
特に弁護士は、相続と会社法の両面から、トラブルを未然に防ぐための総合的なアドバイスを提供できます。
まとめ
同族会社の社長が亡くなった際には、後継者問題、株式の相続、相続税の納税、個人保証の引き継ぎ、取引先との関係悪化など、さまざまなトラブルが同時に発生する可能性があります。
これらのトラブルを回避するには、相続に備えた生前からの準備が重要です。
菊地総合法律事務所では、事業承継や相続に関するトラブルについて、弁護士が丁寧にサポートいたします。
同族会社の相続や事業承継でお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。