2014.09.23

大塚 嘉一

トマス・ピケティの21世紀の資本論を読む

1.フランスの経済学者トマス・ピケティの本「21世紀の資本論」が英語に翻訳され、アメリカでベストセラーとなっているそうです(Thomas Piketty Capital in the Twenty-First Century 2014)。

とても大部で重量のある本ですが、大胆に要約すると、資本主義は経済格差を拡大する性質を内蔵している、という主張です。

一般人からすると、何をいまさら、という感じです。初期資本主義の悲惨を見れば、一目瞭然ではないでしょうか。

それでも、データの扱いなどめぐって、各紙、学者らが、大激論を繰り広げています。

多くの経済学者が意識的にか、無意識的にか信じ、奉じている新自由主義の正統性を揺さぶられているが故の騒動なのでしょう。

2.本家のマルクスの資本論が、資本主義の本質を論じるだけで、その対策には触れられなかったのに対し、本書には、資本主義の弊害に対する対策についても論じられています。

これも大胆にまとめると、累進課税の必要性が説かれます。しかも、一国にとどまらずに、グローバルなそれを。

トロツキー、でしょうか?

3.どうあれ、世界大の民主主義を夢想する私にとっては、重要な本です。

国民国家の存在及びその政策とグローバルな経済拡大との関係は、卵が先か鶏が先かの議論にも似ています。

さらに、それに言語(思想)が関係してくると、物理・数学の三体問題と同様、解決が一挙に難しくなります。

資本主義の巣窟で大勢の人に読まれているからには、何かしら参考になることが書かれているはずです。

4.いずれ、本書の日本語の翻訳本も出版される予定です。

それまでに、どこまで読み込めるか。

いざ、勝負だ。